local report
小さなことから・・・
自分たちの出来ることから始めていこう
ブングチ|「世界の子どもたちに暖かいセーターを送る会」からのセーターを配布
「世界の子どもたちに暖かいセーターを送る会」の皆さんから手編みのセーター100枚を寄付頂いた。
この温かい支援をブングチという支援地に届けた。
ブングチはモンキーベイという小さな町からボートで40分行ったところにある。陸路では岩場を歩くことになり、大変危険で到底私達には難しく、現地の人でも屈強な男性以外、歩いて町に行くことは出来ない。この村は大変貧しく、位置的なこともあり、電気、ガス、携帯のネットワーク、そして奇麗な水もない。湖畔の岸辺は砂浜だが、大変狭く、居住しているのは岩場の斜面だ。わずかにある岸辺はこの村の漁師が魚を干す場所として使用している。
私達がこの村を初めて訪れたのは2007年。この村に初めて海外のNGOが入ったのだそうだ。私たちはこの村でHIV/AIDSの検査を行い、陽性の人たちに町までのトランスポートクーポンを配布した。この村はAIDSの感染率が非常に高く、2007年の検査では43%が陽性だった。この頃は、検査を受けて陽性だと判っても病院に行くトランスポートのお金がないので検査を受けてもしょうがない・・・という村人が大多数だった。
ボートを使用して病院のあるモンキーベイに行くには往復でMWK700(訳$1)かかる。病院へ行けば1か月分の薬を無料で手にすることが出来る。しかしその$1が払えないばかりに多くの人がこの村で亡くなっていた。しかし私たちが検査を受け、陽性だと判った人たちにトランスポートのクーポンを配布したことでステージ3で寝たきりだった人が病院に行き、薬を飲み始めたことで健常者と同じぐらい元気になって仕事が出来るようになったのを見て、2008年からは多くの人が検査を受けてくれるようになった。村人の意識が変わっていった。AIDSの感染率は多少減ったものの今でも高い。しかしながら皆が前向きに生きてくれるようになったこと、衛生管理に気を付けるようになったことは大きな希望だ。
今回、なぜこの村にセーターを贈ったかというと先に記したようにこの村は岩場の斜面に位置している。そのため、乾季は、日中は30度を超える暑さだが、夕方になると風が強く急激に温度が下がる。この村には病院もクリニックもないので体調を崩すと死亡する確率が大変高い。勿論、最貧困エリアなので子供たちのセーターなど買えるはずもないため、頂いたセーターを最大限有効活用できると思いこの村を選んだ。
セーター配布が始まると若いお母さんたちが大勢来て、大変な騒ぎになった。結局頂いたセーターだけでは数が足りなかった。セーターを受け取ったお母さんたちは本当に嬉しそうだったが、受け取れなかったお母さんたちは大変残念そうでちょっと可哀そうになってしまった。基本的には、特に貧しい家庭、HIV/AIDSが陽性のお母さん、子供が病気のお母さんたちを優先して配布した。大騒ぎになってしまったので、全ての写真を撮ることが出来なかった。本来ならセーターを着用しているところも撮りたかったのだが、昼、30度を超える最中に赤ちゃんにセーターを着せることは無理だったので配布している写真のみ撮影した。村のチーフ、ボランティアも大変喜んでいた。
「世界の子どもたちに暖かいセーターを送る会」の皆さん本当に有難うございました!!
ムサカ&ブングチ|ゴミ拾いプロジェクト
前回(2018年)の支援から始めたごみゼロ運動。「No Fish No Life」をスローガンに村の子供たちとゴミ拾いをした。
ここ数年、マラウイでもプラスティックごみの増加が著しい。それは最貧困層のエリアでもいえることだ。私達の支援地は、マラウイ湖の湖畔にある村で漁師が多く住んでいる。雨期になるとプラごみが湖に流されていく。海洋汚染同様、湖の魚も危機に瀕している。このままではいずれ湖の魚も死んでいくことは間違いないだろう。そうなれば、漁師たちの生活は成り立たない。それにこの地域では毎年雨期になるとマラリアやコレラ、赤痢、結核などが発生し、人々の命を奪っていく。プラスティックごみが散乱すれば、そこに水が溜まり、衛生状態が悪くなり、これらの病が流行する呼び水になる。
問題なのは、プラスティックごみによって魚が死んでいく、衛生面で問題が出るという情報を誰も持っていないことだ。電気もガスも水道も携帯のネットワークもないようなところでこのような情報は中々手に入らない。だから、大人でさえこの事実を知らない。
私たちのプロジェクトの考え方として私たちはあくまで“お手伝い”。いずれ、私たちの支援が無くなっても村人だけで継続していける支援を考えている。
そこで今回考えたのが子供たちと一緒にごみゼロプロジェクトを行うことだ。金銭的な利益を追求する大人にいきなり話をしても聞く耳を持ってもらえないことが多い。それならば子供たちを集め、日本から持っていった魚がプラスティックごみを食べて死んでいっている写真を見せながら授業をする。子供たちは真剣な顔で耳を傾ける。「No Fish No Life」をスローガンに授業を進めていくと子供たちは大きくうなずき、授業が終わると一斉にごみが散乱している場所に行ってごみを集めてくる。ボランティアの大人たちが大きなゴミ袋をもっていくとそこにはアッと言う間に大量のゴミが集まる。それを眺めていた大人たちも恥ずかしそうに拾い出すこともある。このプロジェクトには極貧でごみを収集する金銭的な余裕がない村で唯一と言っていい宝物、「子供たちの力」を借りることだ。ゴミ収集が終わった子供たちは一列に並び、手を洗う。食べる前に手を洗うことを教えるのも大切なことだ。どこにどういう病原菌が潜んでいるのか判らないのだから。
その後、手を洗い終わったら、ビスケットのご褒美をもらう。ビスケットといってもマラウイで一番安価なものだが、それさえも子供たちにとっては御馳走だ。ボロボロの服を着た痩せっぽちの子はゴミを拾っては手を洗い、ビスケットをもらったら、又ゴミを拾いに行く。そして最終的に持ちきれないほどのビスケットをもらって満面の笑みを見せる。このやり方だったら少額で村も綺麗になり、子供たちも喜ぶし、大人たちの意識も多少は変わっていくように思う。
しかしながら、実際にゴミを捨てているのは大人たちだ。特にムサカという村では近年他の村の漁師が流通に便利なこの村を大勢訪れるようになり、様々な問題を起こしている。ゴミ問題もその一つだ。
村のチーフやボランティアも頭を悩ませている。
次回、支援に行くときはこの問題をもっと村全体で考え、改善するようなアイデアを出したいと思っている。地区の代表や漁師の代表を集めて授業かな。。。(笑)
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