local report
小さなことから・・・
自分たちの出来ることから始めていこう
2009年1月30日~2月20日:提携先=Billy Riordan Memorial Clinic/無料診察クーポン/大人500枚 子供1000枚
米500g×25袋/メイズフラワー1kg×25袋/コンドーム=約500個
ここは、世界遺産に指定されたマラウイ湖畔に位置し、世界で一番ダイビングのライセンスを安価で取得出来るとしてシーズンになると欧米から多くの観光客が訪れる。そのため、ロッジも数多くあり、近隣の村と比較しても衛生状態も良く、一見しただけではこの村の問題点は決して見えてこない。しかし、中に入ると貧困層の生活はかなり厳しく、HIV/AIDSのパーセンテージも20%以上とかなり高い。チェンベの支援に関しては、2006年~提携を続けているBilly Riordan Memorial Clinicに大人500名(MWK150×500名=MWK75,000)、子供1000名(MWK50×1000名=MWK50,000)分の診察料金を渡し、貧困層の患者の診療を無料で行なってもらっている。
このクリニックのジャネット医師とは、何度も話しをし、なるべく簡単な方法で病院側にも負担がかからないようなシステムを構築してきた。最初の頃は、クーポンのチケットを使っていたが、現在では受付で病院側のスタッフが左下の写真のシートに患者の状態を書き込み、診療が終わった後、 医師が病名などを書き込むというもの。システム自体を直接病院が管理をしてくれているし、同じ海外のNGOであるため何か問題が発生しても臨機応変に対応出来、何よりも志が同じなので理解しあえる・・という点から、ここの支援は本当にやりやすい。
村人からも「JAGの支援が入って貧しい人達が診察を受けられるようになり、随分と状況が変わった。」と感謝される。但し、薬を飲めるようになって状況が改善されても貧困層 の人たちに仕事がなく、生活の改善は中々難しいようで村人からHIV/AIDSの女性たちの自立支援の要請を受けた。 次回から、HIV/AIDSの女性を対象に布草履を使った自立支援を始めてみようと思う。
2009年1月30日~2月20日:VCT(HIV/AIDSの血液検査)スポンサー/1日 73人中/7人(新規ポジティブ)=9%
ムサカ⇔モンキーベイ(病院=MWK300 トランスポート・クーポン=440人分/コンドーム=約500個)
この村は、2007年7月から無料VCT(HIV/AIDSの血液検査)を行なっている。
初めてVCTを行なった2007年には、26.1%が感染していることが判明し、緊急トランスポート・クーポンの支援を行った。そして今回で3回目のVCT。村人のHIV/AIDSに対する意識、姿勢はその後どうなっているのか?不安を抱きながらムサカに向かった。
今回まず村に入ってみて驚いたのは、あれだけ汚かった村が見違えるほど綺麗になっていたことだ。人の意識がとても変わってきた。今でも汚い場所が一箇所だけあるのだが、それを村人達が 問題視するようになって、そのエリアに店を出している人たちとの話し合いを行なっているのだそうだ。今まで「不衛生だ。綺麗にしなくては駄目だ!」と何度言っても、ただ笑っているだけだった村人が真剣な顔で「マーケットの連中が一向に掃除をしないでゴミを放置する。何とか言って欲しい」と訴えてきた。正直信じられなかった。
VCTも前回(2008年3月)、検査に来たのは、学生中心で成人はあまり受けに来る人がいなかった。ボランティアは、「村人にちゃんとインフォメーション出来なかった」と言い訳していたが、私は村人が真剣に考えていないのではないかと思った。 それがあったので今回、ムサカのVCTは1日だけにしたのだが、今回は、朝から多くの人が訪れて、終了時間に間に合わない人も大勢いた。村人からは「1 日だけでは足りない。もう1日検査をして欲しい。」という声があがったほどだ。
何故、これ程までに村人の意識が変わったのか不思議でならなかったが、ボランティアいわく「VCTを受 けてポジティブだと判った人、以前から寝たきりだった人が、皆、病院へ行き元気になった。今までは、ポジティブだと判ってもどうせ病院に通う事は出来ないから、それなら知らないほうがいいと思っていた人が、キチンとVCTを受ければ何かあってもJAGが支援してくれると判り、検査を受けに行こう。という気持になった」のだそうだ。加えて「VCT検査を受けてネガティブだった人でも検査さえ受けていれば、他の病気になっても支援を受けられるが、検査に来なかった人は支援を受けられないことになったので、それは困ると思い検査に来たのだろう」とのこと。
因みに村が綺麗になったのは、最初は、私たちがあまりにうるさく言うから・・だったが、それによってマラリアが少なくなったり、コレラも発生しなかったりと実際に良いことがあったので皆で掃除をするようになったのだそうだ。VCTの結果も9%と、信じがたい数字。たまたま今回検査に訪れた人にネガティブが多かっただけかもしれないが、確率論からすると新規のHIV/AIDSの患者が減っているということになる。この結果から見てもムサカの状況はかなり改善され、そろそろ本格的な自立支援を取り入れても良いのではないかと思っている。
ブングチ⇔モンキーベイ(病院)=MWK300/トランスポート・クーポン=842人分/コンドーム=約500個/蚊帳=50張り
今回、私達が新しく支援を始めた村Mvunguti。ここは、約520戸の家が建っていて、人口は約6,000人~7,000人。一つの家に10人以上が暮らしていることになる。その7割~8割が漁をして生計を立てているのだが、船を持っている人は限られていて大半が漁の手伝いということになる。その為、ここもまた貧困層の人達が大半を占めている。
また、岩に囲まれた狭いエリア内に村が形成されていて人口密集率が高く、衛生状態も極めて悪い。湖からすぐのところに家が乱立していて、湖ではお母さん達が洗濯しているし、トイレも穴を掘っただけのもので汚水が地下に浸み込む。ポンプ式の井戸がいくつかあったが、飲み水の安全性が確保されているのかどうか非常に怪しい。今回は検査できなかったが、次回はキチンと検査したいと思っている。(検査もそう簡単には出来ない。ともかく陸の孤島の為、何をするにも時間がかかってしまう。)勿論この村も、電気が通っていない。もともとマラウイでは、電柱が来ていても電柱から自分の家までの電気は、自分で電線やスイッチを購入し、引いてこなくてはならない。その額、かなり高額で田舎に住む大半の人は家に電気を引く事は出来ない。
最近では電気を引いていても四六時中停電でどちらにしても自家発電機を持ち合わせていないと、まともな生活が出来なくなってきているのが現状だ。どちらにしてもこの村に関しては、電柱さえも来ていないのでお金があっても電気を引く事は出来ないということだ。この村の一番の問題点は、マラウイ湖畔に位置し、陸路によるトランスポートがないこと。病気になったら病院のある街まで高額なボートのトランスポートを使うか、大きな岩がゴロゴロしている足場の悪い山道を歩いていくか、誰かに負ぶって貰って行くかそのまま病院にもかかれずに死んでいくか・・のどれかを選ぶことになる。ボートでのトランスポートは、往復でMWK400。日本円にして約250円。大半の貧困層の人達が一日$1以下(約100円)で生活をしていると言われるここマラウイで250円は大金だ。その為、よほどのことがない限りボートを使って病院へ行く事は 出来ない。Mvungutiから、病院のあるモンキーベイまで陸路で直線距離にして約10km。足場の悪い山道を病人が歩いていくのにはいささか遠すぎる。
Mvunguti/VCT
今回、この村で3日間にわたってVCT(HIV/AIDSの血液検査)のスポンサーになった。私達の宿泊しているチェンベからボートをチャーターして約40分。ロッジにお弁当を作ってもらいクーラーボックスに飲み物を入れて持参する。Mvungutiには、レストランもないし、電気がきていないので冷たい飲み物を売っているところもない。湖沿いに数件ある店にファンタやコーラは売っているのだが、水は売っていないしともかく温い。こんな暑い所で温いコーラやファンタを飲む気にはならない。地元の人に何かのむ?と聞けば、たいてい「ファンタ」や「コーラ」と答える。レストランなどでは紅茶。しかも砂糖を山ほど入れる。甘いもの=栄養だと思っている人も少なくない。病院の先生に聞いた話だが、アフリカは糖尿病の人が結構多いのだそうだ。この村のボランティアは、とても優秀で村の内情を実に良く把握していて、私達のプロジェクトのやり方をすぐに理解し、一生懸命、村の人たちにVCTを受けるように呼びかけたり、私達が英語で作ったVCT開催のチラシの下にチェワ語で訳を付けて村のあちこちに貼ったりしてくれた。おかげで3日間のVCTには、約200人の人が訪れた。これは村人の意識の高さを物語っている。
結果は、新しくポジティブと判った人に加え、以前からポジティブと判っていた人も検査を受けていたこともあり64人がポジティブと判明。どちらにしても高い数字だ。しかも今回のVCT、一番検査を受けて欲しい漁師の人達が、漁の時期だったためにほとんど訪れていない。マラウイでは、漁師から感染したと思われるケースが数多く報告されている。そのため、実態を把握するには漁師の人達がVCTを受けないと本当の数字は判らない。
漁師のVCTに関しては、その後AIDS・衛生省のトップ、Dr.メリーシャワーとも話しをして漁師協会に半ば強制的に検査を受けるよう話しをしてみるということになった。漁師全員がVCTを受けたらこの国のHIV/AIDSの実態がかなり明確になってくると思う。
もし、それが実現するのなら私たちもどういう協力が出来るのかを改めて再考するつもりだ。
Mvunguti/支援の仕方
Mvungutiにおける支援は、新規のポジティブ患者にパスポートと称したカードを渡し、3回のオリエンテーション、6回の投薬・治療の為のトランスポートを無料で受けられる、及び今回VCTを受けた人限定で毎月60人まで別の病気(コレラ、マラリア等)で具合が悪くなった場合、無料トランスポートを受けられるということにした。この支援は、貧困層の人、重症患者が優先される。また、Mvungutiに関しては、HIV/AIDSのステージ3以上の人、50人に蚊帳の配布も行なった。
この支援によって、少しでもこの村の状況が良くなり、人々の意識も変わってくれると良いのだが・・・。
Mvunguti/今後の支援に関して御協力をお願いします!!
ただ、どちらにしても陸路のトランスポートがない限り、この村には、病人専用のボートが必要だと思う。特に村人が口々に言っていたマタニティー・プロブレム。要するに深夜に産気づいた場合、トランスポートのボートもなく、病院にも行けず綺麗な水も電気も無い中で出産に臨まなくてはならず、多くの命が失われているという悲しい現実。幹線道路からの道を作るのが一番良い事は判っているが、だからと言って、今現在、到底私達のプロジェクトで道路を作ることは出来ない。資金も無いしノウハウも無い。
そこで考えたのがAfrican JAG号というボートの寄贈だ。調べてみると25人乗りの木のボートとモーターを購入した場合、約US$2,500~US$3,000だと言う。現在行なっている支援は7か月約US$2,000でしかも一月あたり60人+新規のポジティブ患者という制限付き。それならばボートを購入して寄贈をするほうが、より多くの人達が病院に行くことが出来るし、深夜の急患対応もボートを運転できるボランティアスタッフがいるので可能になる。ガソリン代やボートのメンテナンスの事を考えると最貧困層の人を除いては、全くの無料というわけには行かないが、それでも今まで村人が支払っていた金額の約1/4で何とかまかなえるのではないかと考えている。と、いう訳でAfrican JAGが掲げる、次の目標は、Mvungutiに寄贈するボートの購入。
そのために今まで以上に頑張って寄付や物販売り上げを増やさなくてはならない。皆さん、どうか御協力を宜しくお願いします!!
相変わらず、2月、3月になると貧困エリアは食糧が不足、高騰し、特に病人がいる家庭では、その日に食べるものを確保するのも難しくなる。 マラウイはメイズ・フラワー(トウモロコシの粉)を使ったシマという食べ物が主食で貧困層の人たちもこれを好んで食す。収穫時期は、4月~5月にかけて。現在は、食糧危機や価格の上昇を防ぐ為、一括して政府が買い上げ、アドマックという場所から購入するシステムになっている。しかし、実際は、1月を過ぎると安価で購入できるアドマックからメイズが無くなる。政府の購入価格が安いということでブラックマーケットに売る人も後を立たず、アドマックのメイズが底をついたところで小売店に高値で売るのだそうだ。今回、私たちも何ヶ所かのアドマックを回ったが、メイズを購入する事は出来なかった。そのため、小売店で購入したのだが、この価格では貧困層の人たちには購入できないと思った。米もこの時期はかなり高い。
また、私たちが支援しているエリアにおいて、メイズの発育が至って悪い。雨季に入っても雨量が少ないということもあるのだが、毎年同じ場所に作付けしているために土に栄養が無くなってしまっているのだそうだ。化学肥料は高く、購入できないし、有機肥料を作る術も無い。有機肥料を作ることが出来ればかなり食糧事情も変わってくる。私が見た限り、国土の1/3をマラウイ湖が占めており、小魚が沢山上がっていて、雨季になるとその魚が乾燥する前に腐ってしまう為に、結局湖に捨てるという事をしているのでそれを利用すれば良い有機肥料が出来るような気がする。粒をもいだメイズ芯や雑草なども使えるのではないだろうか。次回の訪問までに専門家に聞きに行ってみようと思う。お金が無ければ知恵を使え・・・ということ。
どちらにしても今のままでは、貧困層の人たちの状況は一向に良くならない。AIDSの患者さんにしてもいくら支援して薬を飲めるようになって快方に向かっても食べることが出来ないのでは、そのうち薬も飲めなくなってしまう。そうすれば元に戻ってしまう。AIDSの薬は、大変強く副作用も強い。それに体力が無ければ働くことも出来ない。せめて一定の食糧供給が出来るよう考えてみたい。
今回のVCTでも、以前から続けている日本製のコンドームの配布を行なった。これが、驚くほど人気が高く、翌日に又貰いに来る人も少なくなかった。以前、村人にインタビューした時に、マラウイで無料配布されているコンドームはゴムの匂いがきつく使用感も悪い為に、大半の男の人達は使用しないとハッキリ言っていた。
しかし、日本製のコンドームは、匂いも良く使用感も最高で「これなら使いたい」とのこと。さすが世界一の技術力を誇る日本。この結果、考えられるのはコンドームの質さえ改善されれば、男性がコンドームを使用するようになり、そうなれば今後HIV/AIDSの根本的な感染の低下に繋がる可能性が高いということになる。次回はもう少し、広いエリアでモニタリングしてもらい意見を集めたい。
その結果、もし多くの人に日本製のコンドームが受け入れられた場合、ゴムの木があるマラウイで日本のコンドームの会社が技術協力をしてコンドームを作れば、HIV/AIDSの蔓延を抑制するばかりか、産業としても大きなものになると思う。サハラ以南のHIV/AIDSが猛威を振るう国々に輸出することも出来るわけだし・・・。何か、無駄にODA(私達の税金)を使うのではなく、こういうことに目を向ければアフリカの支援は意味を成してくるように思うし、大きな成果を挙げられるように思う。因みに配布しているコンドームは、神奈川のデリヘルの女の子達が、集めてくれているもの。毎回、1500個~2000個のコンドームを持参し、クリニックや支援している村で無償配布している。本当にみんなから喜ばれている。デリヘルの女の子達に感謝!!
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