local report

小さなことから・・・
自分たちの出来ることから始めていこう

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ブングチ|視察

国土の5分の1を占めている世界遺産であるマラウイ湖は、まるで海のような白砂のビーチと、周囲の山々が写り映り込むとても美しいターコイズブルーの湖である。南北に約580kmと細長いマラウイ湖は、アフリカ大陸で3番目の大きさを誇る。
そんな美しいマラウイ湖国立公園内の湖畔沿いに、ブングチ村はある。白砂のビーチはわずかしかなく、険しい岩盤の山に住居を構えている。このブングチ村への移動手段といえば、この切り立った険しい尾根道を歩く人もいるとは言っていたが、やはり一般的には船の移動である。
VCTに訪れた4月11日は、朝の8時だというのに太陽はジリジリと照りつける見事な快晴。スーパーらしき店の前にたむろする数人の若者や、荷物を運んで小銭を稼ごうとしている人にジロジロと見られながら、大量のメイズフラワーを船着き場まで運び終えるまで監視すること約30分。挙動不審な態度を見せてはいけないと、顔は平静を装ってはいたものの、心臓はドキドキ。スタッフの顔が見えたときには、ほっとした。
船着き場で船を待つこと約20分。チャーターしたはずの船がなかなかこない。ようやく船に乗り込んだのが約30分後。船底がない船というよりボートに乗ったのは初めての体験だ。船底に溜まった水をかき出しながらの走行だったが、心地よい風とマラウイ湖の水しぶきを浴びながら、快調に飛ばすボートは爽快だった。時折、強風でかなりのスリルは味わったが、壮大な景色を独り占めしているような感覚になった。
ブングチ村に着くと、村の狭い砂浜には大量の小魚が干され、いたるところに煮干しが積まれていた。日本でいう目刺し、いわゆるカタクチイワシのような小魚である。かなりの量の魚にも関わらず、思っていたほど異臭がなかったのには驚きだった。湖に飛び込んで、エネルギーに満ち溢れた、人懐っこく出迎えてくれる村の子どもたちの屈託ない笑顔、ただそれだけで幸せを感じられる。電気も水道もない、当然、携帯電話もないこのブングチ村。「便利さと幸せは比例しない、便利さの中には不満が生まれる」という言葉が脳裏をよぎった。
生活の糧である湖の入り江には、ビニール袋やボートの油などで汚染され、その汚染された中で身体や食器を洗ったり洗濯もする。病原菌に汚染された水を飲むことで、深刻な病気を引き起してしまうこともある。トイレもまた穴を掘っただけの不衛生な環境にあり、正しいトイレの設置場所と正しい汚物の処理をすることで、飲み水汚染の劣悪な公衆衛生環境を変えることができるのではないか。安全な飲み水の確保のためにも、ブングチ水プロジェクトが、早急に進むことを願う。

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ブングチ|VCT(HIV抗体検査)

マラウイでは毎年、新たにHIVに感染する人が多く、エイズがいまだに成人の主な死因となっている。今回、ブングチ村のVCT(HIV抗体検査)では、事前のボランティアからのアナウンスもあってか1日目88名、2日目112名、合計200名が検査に訪れた。ブングチ村のボランティアが、自分たちでポスターを作成し、村人が通る壁に貼って呼びかけを行った。
検査の結果、200人のうちHIV感染者が60人、新たなHIV感染者数が36人であった。両日ともVCT検査を終了した人にはメイズフラワー、子どもたちにはビスケットを配った。コンドームが必要な人には、VCTスタッフが適宜配布していた。ブングチ村の方はとても穏やかである。VTC検査に来た人の意識もあるのだろうが、ボランティアスタッフがVCTスタッフと連携を取りながら、スムーズに検査が進められるように会場内をコントロールしていた。またHIV感染者だけでなく他疾患においても、個々に相談を受け、症状に合わせた早急な対応をしていた。
ただ、感染率が高いといわれる漁師の受診者が少なかったことが残念である。漁師は、ブングチ村以外の人との接触があり、HIV感染の拡散が懸念されるために、今後は漁師の受診者を増やすための取り組みが必要だと思った。若者に対するHIV予防教育活動(HIV感染の正しい知識と、コンドーム使用の大切さ、早期発見)を実施。
またHIV感染者は、抗HIV薬を飲むことでエイズの発症を抑えることができるが、社会的・経済的理由や薬耐性の問題により治療を続けるのが難しく、途中で服用をやめてしまうこともある。特にブングチの場合は、陸路のトランスポートがないために、移動にかなりの費用と時間がかかり、病院に行くことすら厳しいのが現状である。
今回African JAGでは、VCT後、新規HIVポジティブの患者36人には、投薬、治療をするために病院までの12回分の無料トランスポート券を配布。また、VCTを受けた人限定で、他病気(結核、マラリア、コレラ等)のための無料トランスポート券も配布した。
また相変わらずマラリアの罹患率は高く、蚊帳62張を支援した。
子どもたちの早期検査を増やし、若者に対するエイズ予防啓発教育と感心を高め、より多くのVCT参加を促すことができるように、治療へのアクセス格差を減らすことが大切だと強く感じた。今後も現地ボランティアとの連携を密にしていくことで、この問題に取り組んでいきたいと思う。

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ムサカ|視察

チェンベから約10Kmしか離れていない、やはりマラウイ湖畔に位置する人口約12,000人の村。 病院、クリニックは村の中にはなく、約30㎞離れたモンキーベイの病院に通わなくてはならない。トランスポートは往復でkw1000。(約150円)2010年10月の支援以来、7年半ぶりに再訪。今回、ムサカに行ってみて問題点ばかりが目についた。
以前は、携帯のネットワークもなく、村の中に数軒の店があるだけだったが、とてもまとまりのある村だった。
最近になって、USエイドというアメリカのNGOがフィッシュプロジェクトというものを立ち上げたらしく、今は近隣の村だけでなく遠方からも漁師がこの村を流通の拠点にしており村の人口も増え、村の中には食料品店やバーのようなものも多数できていた。漁協もかなり売り上げているようでランドクルーザーのような高級車に乗っている人もいた。以前から自分のボートを持っている漁師の収入は良かったのだが、今はその数倍になっているらしい。一般の村人との経済格差は明らかだった。
村にはチーフが存在し、絶対的な権限を持っているはずだが、漁協やマーケットはチーフと距離を置いて独自に金儲けをしている。経済が活性化するのは良いことだが、それによって生じる問題も多い。今の段階で村のルールを作って皆がそれを守るようにしていかなければ村自体がバラバラになって収拾がつかなくなるような気がする。

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ムサカ|H.I.V/AIDS-現状と対策

今回は2日間に渡ってH.I.V/AIDS検査(V.C.T.)のスポンサーをした。初日に121人が検査を受け、83人が陽性。(内3名が新患)約68.6%が陽性。2日目は94人が検査を受けて15人が陽性。と初日に比べて人数は激減したが、どちらにしても2日間で約45%とこれまでにない高い%になった。ちなみに2007年に26.7%だった陽性患者が2009年度は9%にまで減少していただけに今回の数字は残念でならない。VCTの初日はすぐそばの空き地で生後6か月以内の乳児の体重測定があり、体重測定後にお母さんたちが検査を受けに来ていた。そのため、この日の検査患者の70%近くが若いお母さんたちだった。マラウイでは妊娠時に母親がH.I.V/AIDS検査を受け、陽性だった場合、投薬を受ければお腹の中の赤ちゃんには母子感染はないという。しかし母親が一生薬を飲み続けなければ母親の病気は進行し、いずれは死に至る。貧困層に属する彼女たちは毎月病院まで行くトランスポートのお金を持っているのだろうか。
この村において女性の感染に関しては、難しい問題がある。大半の女性が貧困生活の中にあり、よその村から来た漁師が魚を提供することで夜這いをし、HIV/AIDSに感染してしまう。1人の漁師が8人の若い女性に感染させた例もあるそうだ。明日を生きていくために身体と魚を交換するのだ。それでもコンドームを使ってくれればよいのだがマラウイで無料配布されているコンドームは、ゴムの臭いが強く、厚みがあるため、男性が使用するのを拒否するのだそうだ。
以前も記したが、日本のコンドームは凄く評判が良い。VCTのたびに日本から持っていったコンドームを配布するのだが、多くの人から「もっと欲しい。」と言われる。特に貧困層の女性たちは「このコンドームなら男性が使ってくれる。」と言って沢山欲しがる。
現状では、限られた数のコンドームを持参することしかできないが、近々、日本のコンドーム会社と提携して一定数提供できればと思っている。
また将来的にはゴムの木があるマラウイに日本のコンドームの製造技術を持ち込んで工場を設立。パッケージに日の丸をつけてアフリカ諸国に提供できるよう働きかけたい。確かに、現在のHIV/AIDSの薬は優れていて、きちんと飲み続ければ健常者と同じような生活を送ることが出来る。でも貧困層の人たちは病院に行くこともままならず、貧しい村で死を迎えるしかない。だから、根本的にHIV/AIDSの感染を無くしていかなくてはならないのだ。
それならば、そこに日本の優れた技術で作られたコンドームが有効ならそれを活用すればよいと思う。ODAという名のお金のばら撒きではなく、官民協力して日本の技術で貧困層のHIV/AIDSで苦しむ人たちの数を根本から減らしていくべきだと思う。それは日本にとっても多くの貧困国の人々にとっても有効なことだと考えられる。

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ムサカ|ごみ問題―現状と対策

2010年に村人が自発的に清掃を始め、物凄く綺麗になっていた村が一変し、いわゆるプラスティックごみ(コンビニの袋)が村中に散乱し、川の水を止め、川底にヘドロのような泥が溜まり、異臭を放っていた。雨季になると高台から雨水が川に流れ込み、川底に溜まったヘドロと共にプラスティックごみを湖に運ぶのだそうだ。これは、他の村から来た漁師がお酒を飲んでその辺にごみを捨てるためだそうだが、今UNでも問題になっている“魚の胃袋がプラスティックでいっぱいになっている”=“魚の死”。
そうなればこの村も多くの人が漁業に関わっているのだから、必然的に自分たちの暮らしを苦しくする。他の村から漁師を受け入れるのであれば、村のルールを作り、それに違反した者にはペナルティを科せるべきだと思う。他の村からの漁師が入ることによって多くの収入を得ているバーやマーケット、漁業組合なども自分たちの利益ばかりを優先するのではなく率先してごみ問題に取り組むべきだと思う。
今回、私たちはとりあえずの処置として子供たちを動員してゴミ拾いプロジェクトを行った。
子供たちにビニール袋を拾ってきてもらい、その数によってビスケットを配布するというものだ。勿論ビスケットに釣られたのだろうが大勢の子供が参加してくれた、約1時間で90リットルのごみ袋9袋のプラスティックゴミが収集できた。子供たちは、ごみ袋の数をカウントしてもらってから手を洗い、ビスケットを受け取る。ボロボロの服を着た貧困層の子供が何度も一生懸命ゴミを拾って手の中に持ちきれないほどのビスケットを貰ってニコニコしている姿はこちらも幸せな気持ちになった。
ここでもう1つ大切なのは、手を洗う習慣を身につけることだ。コレラや赤痢の感染も発生しているこの村ではこういうことから身につけていかなくてはならない。幸い、この村のチーフは小学校の校長先生でもあるのでこれを機に学校でもプラスティックごみの害について、手洗いについて子供たちに教えてもらい、中・長期でプロジェクトを進めていくことになった。
最終日には、今回同行した書家の万美さんが現地の言葉で立て看板を書いてくれた。
“No Fish, No LIFE”
今、プラスティックごみを魚が食べて世界中で魚が死んでいます。自分たちの生活を守るためにごみを捨てるのはやめましょう。・・・といった内容を現地の言葉で書いて一番ゴミが散乱している場所に設置した。どれだけの効果があるかは判らないが経過報告によるとそれなりの効果が出ているようだ。
次回、ムサカを訪問するときには、漁協やマーケットの人たちも交えてごみ対策を話し合う予定だ。ゴミ箱と立て看板を色々な所に設置してゴミ“0”を目指していきたい。

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